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出張中、妻に詠んでもらいたい短歌 7選

出張などで家を長期間空けることは、サラリーマンにはよくあることだ。そんな出張中、愛妻家の方々にとって一番辛いのは愛する妻に会えないことであろう。

まぁ、僕は独身なわけだが、きっと世の妻帯者たちはそう思っていると信じている。会社員時代、長期出張先で既婚者の先輩が「妻に会わなくていいので毎日が楽しい」みたいなことをのたまっていたが、僕はそれがその先輩なりの照れ隠しだと思っているし、晩御飯を一緒に食べた後、夜のネオン街に独り吸い込まれていったのは、愛する妻にプレゼントを買うためだったと信じている。そう信じているのだ。

さて、そうやって、出張先のホテルで夫が妻のことを思って悶々としているのであれば、妻の方も家で夫の帰りを今か今かと待っているに違いない。そわそわして仕事や家事に手がつかなかったり、夜独りでは広いベッドに入るときに寂しさを感じてなかなか眠れなかったりするはずである。愛である。

愛が高ぶってくると、人は短歌を詠むのを止めることができない。これは日本人なら1000年以上前からDNAに刻みこまれている事実だ。

夫婦間で「愛してる」とストレートに伝えることの重要さ、みたいな文脈がグローバル化の流れもあり、最近よく聞かれるけど、日本人は日本人で短歌のような奥ゆかしい愛の伝え方を持っているのだから、そういうのも使っていけばいいのではないかと思う。

本記事では、そういうメッセージ性も込めつつ、僕が将来出張中に妻に詠まれたらグッときちゃうだろうなぁという短歌を紹介していこう。もしこれらの短歌が妻から送られて来たら、すぐさま返歌をするか、もし無理ならすぐにでも新幹線や飛行機に乗って家に帰ってあげようと決めている。

 

 

妻に詠んでもらいたい短歌 個人的ベストセレクション

仲直りのきっかけにするはずだったアップルパイを焦がしてしまう

作者:岡部美穂

出典:「あなたを想う恋のうた」2012年最優秀賞。

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出張直前、喧嘩したまま家を出てしまった。出張は明日で終わりだけど、帰ったらどう仲直りしたものか。何か手土産でも買って帰らないとな。そんなこと考えていたら妻からこんなメールと共に焦げたアップルパイの写真が送られてくる。こんなんグッと来てしまうわ。今のところ僕の中ではグッとくるポイント換算で100点満点。

 

「今いちばん行きたいところを言ってごらん」行きたいところはあなたのところ

作者:俵万智

出典:「とれたての短歌です。」

出張先にて、出張が終わったらどこか旅行でも行こうかと妻と話していたらこのメッセージが届く。2泊3日の出張なのに大げさだな~なんて言いつつ、ニヤニヤが止まらない。ぐへへへへ。

 

夜もすがら もの思ふころは 明けやらぬ 閨のひまさへ つれなかりけり

作者:俊恵法師

出典:千載集

現代語訳:いとしい人を想って夜通しもの思いに沈むこの頃、夜がなかなか明けないので、いつまでも明け方の光が射し込まない寝室の隙間さえも、つれなく冷たいものに思えるのだよ。

現代短歌が2つ続いたので、百人一首からもセレクト。作者は男性だが、女性の気持ちを想像して詠んだ歌らしい。男性にとっては女性作家の恋愛小説よりも男性作家の恋愛小説の方がグッとくるような感じかわからないけど、個人的には好きな歌である。独り寂しい妻からこんなメールが届いたらすぐにでもドリエルを買って送ってあげたくなる。

 

ながき夜に 衣かたしき ふしわびぬ まどろむ程の 涙ならねば

作者:八条院高倉

出典:新拾遺和歌集

現代語訳:あなたに会えない長い夜に自分の衣だけの固い床で寝ようとするも、涙があふれてきて眠れない

こちらは新拾遺和歌集より、上の俊恵法師と同じで夜一人で眠ろうとする女性の悲しさを詠った歌である。なお、「自分の衣だけ」というのは、当時、一緒に寝るときはお互いの衣の片側を床に敷いて固くならないようにしていたことに由来する。独り寂しい妻からこんなメールが届いたらすぐにでもグッスリンを買って送ってあげたくなる。

 

君が行き 日(け)長くなりぬ 山たづの 迎へを行かむ 待つには待たじ

作者:衣通王(そとほしのおほきみ)

出典:万葉集

現代語訳:あなたがいらっしゃってから、ずいぶんと日が過ぎてしまいました。山たづのように、あなたを迎えに行きましょう、待ってなんかいられない。

ドラマのやまとなでしこで一番好きなシーンは最後、松嶋菜々子がイギリスまで堤真一を追いかけていくシーンだ。この歌を見ると、あのシーンのときめきがよみがえってくる。もはや出張と言うよりも単身赴任でない限りこんなことにはならないという現実的なコメントが聞こえてくるが、それはそれ、これはこれ、である。

 

黒髪の 千すぢの髪の みだれ髪 かつおもひみだれ おもひみだるる

作者:与謝野晶子

出典:みだれ髪

この歌は妻子ある与謝野鉄幹と一緒に住み始めた時期に詠まれた歌である。与謝野鉄幹は昌子と結婚するため、妻とは別れたが、当時貞操観念の強かった時代であり、世間からは非難囂々であった。

そんな中、彼女は自身の燃えるような恋心を赤裸々に歌い、歌集にまとめ上げた。このみだれ髪で彼女は一躍歌壇の中心に押し上げられることになる。この辺の顛末は不倫騒動でCDが売れまくったゲス極川谷と似ているような気がするが、川谷さんもベッキーさんも両成敗とか友達とか言ってないで、与謝野晶子ぐらい吹っ切れていたら世間の見方も彼らの結末も変わったかもしれない。

さて、そんなわけでこんな歌が突然妻から来たら誰か他に好きな人でもできたのかな…?と不安になってしまうだろうが、身悶えするぐらいあなたが好きですという意味だとそのまま好意的に解釈しよう。

ところで、前々からこの短歌を見るたびに磯野カツオが頭に浮かぶ病気に罹ってしまったのでみんなも罹ればいいと思うよ。

 

この煙草あくまであなたが吸ったのね そのとき口紅つけていたのね

作者:佐藤真由美

出典:プライベート

最後は現代和歌からもう1つ。ただし、身が凍る系である。こんな短歌が来たら仕事なんてほっぽり出してすぐ家に帰ろう。言い訳を考えながら。

 

あとがき

以上、もし自分にこんな短歌が妻から送られて来たらグッときすぎて死んでしまうなぁ~(最後は単純に死んでしまう)と思った短歌をセレクションしてみました。もし現在出張中の旦那さんがいる女性の方がいらっしゃいましたら、心を込めた短歌を一つ送ってみてはいかがでしょうか。もちろん奥さんが出張中の男性もぜひ!

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