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徒然なるままに・・・

就職→起業→独立(いまココ)の日々を綴ります。

青春を拗らせた人におすすめの小説 20選

別に暗い思春期を過ごしたわけでもなく、可もなく不可もなくな中高大学時代だったが、常にどこか鬱屈した思いを抱えていたように思う。

今となっては良い思い出の一つなのだけど、当時はその所在なさのような、焦燥感のようなものをやり過ごすためによく本を読んだ。

結果的に「この一冊が自分の人生を変えた!」みたいなドラマチックな出会いはなかったものの、瞬間最大風速的に自身の人生の点々で大きく感情を揺さぶってくる本とはいくつか出会えることができた。

そんなわけでこの記事では、そんな本たちについて書いていこうと思う。

 

 

青春を拗らせた人におすすめの小説 20選

深夜特急 by 沢木耕太郎

インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行く――。ある日そう思い立った26歳の〈私〉は、仕事をすべて投げ出して旅に出た。途中立ち寄った香港では、街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居をしてしまう。マカオでは「大小(タイスウ)」というサイコロ賭博に魅せられ、あわや……。一年以上に わたるユーラシア放浪が、いま始まった。いざ、遠路2万キロ彼方のロンドンへ!

「人生を変えた本」みたいなタイトルの記事を読む度に絶対出てくるだろうと思って開くが出てこなくて驚く。正直、これを読んだのがお金のない中学生の時でよかった。大学生の時に読んだら、バックパッカーになって大学中退してしまったかもしれないし、社会人の時に読んだら会社を辞めてしまっていたかもしれない(結局辞めたが笑)。

「旅」や「世界」というものに対する漠然とした憧れは、確実にこの本によって醸成されたと思う。全6巻で日本からロンドンに行くのだけど、1巻の香港・マカオ編、3巻のインド編、4巻のシルクロード編が個人的には大好き。

社会の授業中にこっちの方が勉強になると思いながら読んでたら、先生に見つかって投げ捨てられたことは一生忘れない。

 

ぼくは勉強ができない by 山田 詠美

ぼくは確かに成績が悪いよ。でも、勉強よりも素敵で大切なことがいっぱいあると思うんだ――。17歳の時田秀美くんは、サッカー好きの高校生。勉強はできないが、女性にはよくもてる。ショット・バーで働く年上の桃子さんと熱愛中だ。母親と祖父は秀美に理解があるけれど、学校はどこか居心地が悪い。この窮屈 さはいったい何なんだ! 凛々しくてクールな秀美くんが時には悩みつつ活躍する高校生小説。

 

モテない青春時代を過ごした僕にとって、この本の主人公はある意味青春の体現者であり理想形であった。

「ぼくは思うのだ。どんなに成績が良くて、りっぱな事を言えるような人物でも、その人が変な顔で女にもてなかったらずいぶんと虚しいような気がする。」

この一言は成績がよくて女にもてなかった当時の僕にとっては真理であった。持てない自分はこの虚しさに対してどう向き合っていくべきか考えるきっかけになった一冊。

ちなみに、この本のタイトルに影響を受けて、長嶋有が似たようなタイトルの本を出してる。こちらも面白い。

 

ぼくは落ち着きがない by 長嶋有

人って、生きにくいものだ。
みんなみんな、本当の気持ちを言っているのかな?

青春小説の金字塔、島田雅彦『僕は模造人間』('86年) 山田詠美『ぼくは勉強ができない』('93年) 偉大なる二作に(勝手に)つづく、'00年代の『ぼくは~』シリーズとも言うべき最新作! 「本が好き!」連載中に第一回大江健三郎賞を受賞したことで、ストーリーまでが(過激に)変化。だから(僕だけでなく)登場人物までがドキドキしている(つまり落ち着きがない)、かつてみたことのない(面白)不可思議学園小説の誕生!

 

グミ・チョコレート・パイン by 大槻 ケンヂ

大橋賢三は高校二年生。学校にも家庭にも打ち解けられず、猛烈な自慰行為とマニアックな映画やロックの世界にひたる、さえない毎日を送っている。ある日賢 三は、親友のカワボン、タクオ、山之上らと「オレたちは何かができるはずだ」と、周囲のものたちを見返すためにロックバンドの結成を決意するが…。あふれ る性欲と、とめどないコンプレックスと、そして純愛のあいだで揺れる“愛と青春の旅立ち”。大槻ケンヂが熱く挑む自伝的大河小説。

あらすじからわかるように青春小説ど真ん中である。高校時代の僕には主人公が同世代と言うこともあってとても刺さった。人と違った自分でいたいがために、読んだ本や観た映画、聴いた音楽の数を増やすことにまい進していた僕にこのままでは駄目だと悟らせてくれた小説。

 

トカトントン by 太宰治

「無頼派」「新戯作派」の破滅型作家を代表する昭和初期の小説家、太宰治による短編小説。初出は「群像」[1947(昭和22)年]。読者と作家との書簡という形式の作品で、読者である青年は、何か物事に感激し奮い立とうとすると、どこからともなくトカトントンという音が聞こえて、虚しい気持ちになってしまう。敗戦後の虚脱感を軽妙に表現した作品である

青春を拗らせると言ったら太宰であると言っても過言ではない。というわけで、自分も御多分にもれず太宰が好きだ。

ここではすぐに読める短編の中からおすすめの二作を紹介する。どちらも青空文庫やKindleで無料で読める。

まずはトカトントン。「やればできるけど面倒だからやらないだけ」的なメンタリティーで日々をやり過ごしていた僕の心をタコ殴りにしてくれた。あらすじには「敗戦後の虚脱感」とあるが、現代社会においても主人公の青年と似た心境の人は多いのではないかと思う。最後の作家の一言が辛辣かつ秀逸で、今でも虚しい気持ちに苛まれたときは最後の文だけ読み返したりしている。

 

風の便り by 太宰治

自然主義的な私小説作家・木戸一郎と文学史に特筆される大作家・井原退蔵の往復書簡という形をとった作品で、作家としての木戸が井原に悩みを吐露するという内容。木戸と井原が太宰の分身かのようでもあり、戦時下の太宰の姿勢とあいまって興味深い。

トカトントンと同じように、プライドが高い私小説作家を大作家がけちょんけちょんにする話。自意識とプライドが肥大しつつある自覚のある人は自分を律するためにも読んでみるべき。

悟浄出世 by 中島敦

悟浄は自意識が強く、知識を持つゆえに、妖怪たちの中で一人苦しみ悩み、流沙河に住むさまざまな賢者や隠士を訪ね歩く。三蔵法師に出会う前の悟浄を奔放な発想で描く。

中島敦で特に気に入っているのがこの悟浄出生である。三蔵法師に会う前に苦悩していた沙悟浄を描いている。「一概に考えることが悪いとは言えないのであって、考えない者の幸福は、船酔いを知らぬ豚のようなものだが、ただ考えることについて考えることだけは禁物であるということについて」この文章にハッとなる人は読むべき。太宰同様、こちらも無料で読める。

ちなみに、万城目学が悟浄出立という同じようなタイトルの本を出している。中島敦も万城目学も好きな人は読むべし。

 

悟浄出立 by 万城目学

俺はもう、誰かの脇役ではない。深化したマキメワールド、開幕! 砂漠の中、悟浄は隊列の一番後ろを歩いていた。どうして俺はいつも、他の奴らの活躍を横目で見ているだけなんだ? でもある出来事をきっかけに、彼の心がほんの少し動き始める――。西遊記の沙悟浄、三国志の趙雲、司馬遷に見向きもされないその娘。中国の古典に現れる脇役たちに焦点を当て、人生の見方まで変えてしまう連作集。。

 

17歳だった by 原田宗典

17歳。楽しくてムチャムチャ充実している一方で不満だらけ。自意識過剰で、恥しくって、キュートな愛すべき時代。身悶えしながら書いた恋文で呼び出し川原での早朝デート。不良志願の第一歩、隠れ煙草。下半身の“暴れん坊将軍”に苦しめられ、深夜の自動販売機で決行するエッチ本購入作戦。カッチョ悪い小豆島家出事件の顛末。思い出すたび胸の奥が甘く疼く、ハラダ君の愉快でウツクシイ高校青春記。

中学生の時にニヤニヤしながら読んだ。エロ本を買いに行くとかファーストキスとか授業中にうんこ(ウンチョス)を漏らしそうになるとか、そういう話をムネノリ節で面白おかしく書いている。読んだ当時は当時は純粋に笑っていたが、今読み返すと原田氏はかなりのリア充であったことに気づく。


ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ by 滝本竜彦

「ごめんなさい。やっぱり私はあいつと戦います」平凡な高校生・山本陽介の前に現れたセーラー服の美少女・雪崎絵理。彼女が夜な夜な戦うのは、チェーンソーを振り回す不死身の男。何のために戦っているのかわからない。が、とにかく奴を倒さなければ世界に希望はない。目的のない青春の日々を“チェーンソー男”との戦いに消費していく陽介と絵理。日常と非日常の狭間の中、次第に距離が近づきつつあった二人に迫る、別れ、そして最終決戦。次世代文学の旗手・滝本竜彦のデビュー作

NHKにようこそ!で一世を風靡した滝本竜彦のデビュー作。超人計画とも迷ったが、やはりデビュー作の方が直球勝負でエッジが効いている気がするのでこっちを進めたい。いわゆるセカイ系っぽい感じなのだけど、何と戦っているのかわからないあの青春の焦燥感のようなものがそのまま物語になっており、自分探しの末袋小路に入ってしまった人にシンプルな解を示してくれる。すなわち、セーラー服の美少女が自分のもとに訪れるのを待つことである。

 

愛でもない青春でもない旅立たない by 前田司郎

何が愛で何が青春か?そして旅立つと言っても一体どこへ?主人公の「僕」は大学に通い、さしあたって大きな悩みもなく、健康で何不自由のない生活を送っている。しかし一体なんだこの得体の知れない恐怖は。焦燥感はどこから来るのか。寂しさは?東京生まれ東京育ちの著者による初めての青春小説。

タイトルが秀逸。大学の時に読んで感動して友達に進めまくったら心配された。愛でもない青春でもない旅立たない大学生の日常を淡々と脱力した雰囲気で描く。この日常の描写力に関してはやはり前田司郎はピカ一である。

 

勝手にふるえてろ by 綿矢りさ

江藤良香、26歳。中学時代の同級生への片思い以外恋愛経験ナシ。おたく期が長かったせいで現実世界にうまく順応できないヨシカだったが、熱烈に愛してくる彼が出現!理想と現実のはざまで揺れ動くヨシカは時に悩み、時に暴走しながら現実の扉を開けてゆく。

あんなに美人で芥川賞の名声も得て、この小説が書けるのは本当にすごい。主人公女性のメンヘラっぷりに笑うのと同時にちょっとだけ親近感を抱く。嘘妊娠で会社を休むというぶっ飛んだ行動を見ていると自分はまだまだだなと思わせてくれる。

 

憂鬱なハスビーン by 朝比奈あすか

東大卒、有名企業に就職し、弁護士の夫を持つ29歳の私。結婚して仕事は辞めたけれど、優しい夫と安定した生活がある。なのになぜこんなに腹が立つんだろう? ある日再会した、かつて神童と呼ばれた同級生。その話に動揺した私は、まだ自分に何かを期待しているのだろうか。

東大を出て有名企業に就職したものの、いろいろあって辞めてしまい、現在はハローワークに通う主人公。ただ、夫は弁護士で働かなくてもいいよと言ってくれるし、自分でもどうしたいかよくわからない。でもなんだかもやもやする。そんな中、昔通っていた塾で神童と呼ばれた同級生に会う。現在フリーターの彼は言う。「俺たちは”has been”(かつては何者かであった人。一発屋)だ」

人生の単調減少っぷりを感じていた大学時代の僕はこれを読んだ後一日ぐらい寝込んだ。皆も寝込めばいいと思う。

 

君は永遠にそいつらより若い by 津村記久子

身長175センチ、22歳、処女。いや、「女の童貞」と呼んでほしい―就職が決まった大学四年生のだるい日常の底に潜む、うっすらとした、だが、すぐそこにある悪意。そしてかすかな希望…?

 タイトルが素晴らしく、タイトル買いしてしまった。前半は相変わらずの津村節でへらっと笑ってしまうユーモアも交えつつ軽快に進んでいくが、後半はひたすら重い。しかし、最後の最後で主人公が世の中の弱者に送るエールがタイトルのそれなんだけど、読んでいる自分もなんだか吹っ切れたような爽快感を感じた。津村さんの小説の根底にあるのは「祈り」だと思うのだけど、デビュー作である本作からもそれが全面に出ている。理不尽にあったときに読むと頑張ろうと思える。

 

何者 by 朝井 リョウ

「あんた、本当は私のこと笑ってるんでしょ」就活の情報交換をきっかけに集まった、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。学生団体のリーダー、海外ボランティア、手作りの名刺……自分を生き抜くために必要なことは、何なのか。この世界を組み変える力は、どこから生まれ来るのか。影を宿しながら光に向いて進む、就活大学生の自意識をリアルにあぶりだす、書下ろし長編小説。

直木賞も取ったので有名な作品。ツイッターで意識高い投稿をしたり、手作りの名刺を作ったりする就活仲間を冷笑する主人公を見ていると昔の自分を見ているようでいたたまれない気持ちになる。ちょっと人物描写が極端で大げさすぎるところは否めないけど、相変わらずのどんでん返しは流石。というか、絶対朝井リョウは性格悪いと思う笑

 

生きるための自殺学 by ケイ・ジャミソン

人はなぜ自殺するのか。人生に絶望して?そうではない。大半は心に病を抱え、その病こそが人を死へと駆り立てるのだ―。名門大学医学部教授で全米屈指の臨床心理学者が、自殺衝動と闘い続けた経験を元に解説する自殺の歴史、各国文化の比較、芥川を含む遺書の研究から報道の影響、各科学分野の最新成果まで。自殺はどうすれば防げるのか?現代人必読。

本のメインテーマは自殺に関する病理学的な考察で、もともとはそれを調べるために買ったのだけど、過去の自殺事例(芥川龍之介もいる)がたくさん書かれていて、そちらの内容に引き込まれてしまった。
青春を拗らせすぎて死にたくなった人は一度これを読んでみると気が変わるかもしれない。自分の場合単純な読み物としては面白かったがそれ以上でも以下でもない感じ。でも読み物としては本当に面白いよ!

 

生の短さについて by セネカ

生は浪費すれば短いが、活用すれば十分に長いと説く『生の短さについて』。心の平静を得るためにはどうすればよいかを説く『心の平静について』。快楽ではなく徳こそが善であり、幸福のための必要十分条件だと説く『幸福な生について』。実践を重んじるセネカ(前4頃―後65)の倫理学の特徴が最もよく出ている代表作3篇を収録。

 ローマ皇帝たちの激務っぷりに涙を禁じ得ない。それはさておき、有意義な人生とは何かを見直してみたい人は一度読んでみたらいいと思う。人生に迷ったときは適当に一ページを開いて読んでみるといい。何かしら新しい発見があるはずである。『(確固とした目的を追求している時以外の時間は)人生ではなく時間である』というのは至言。

 

幽霊たち by ポール・オースター

私立探偵ブルーは奇妙な依頼を受けた。変装した男ホワイトから、ブラックを見張るように、と。真向いの部屋から、ブルーは見張り続ける。だが、ブラックの日常に何の変化もない。彼は、ただ毎日何かを書き、読んでいるだけなのだ。ブルーは空想の世界に彷徨う。ブラックの正体やホワイトの目的を推理して。次第に、不安と焦燥と疑惑に駆られるブルー…。’80年代アメリカ文学の代表的作品!

登場人物がどこでもない場所で何者でもなくなっていく話。カフカ的な不条理さとハードボイルドな筆致が素敵。P・オースタ作品全般に言えることだが、阿部公房や村上春樹好きなら気に入ると思う。何の処方箋にもならないが、拗らせ系はこういうの好きだと勝手に思っている。少なくとも私は大好きです(^ρ^)

 

あとがき

ということで青春を拗らせた人にオススメの小説を、青春を拗らせた人が敢えて紹介してみた。

今まで青春を全く拗らせていない人がこれらの本を読めばこれからの人生が拗れること間違いないし、僕同様に青春を拗らせていた人はこれらの本を読めばより拗らせてさらに高みに上り詰めること間違いなしだと思います。

 

単純に面白い作品ばかりなので、読んだことのない本があれば、一度読んでいただけたらと思います。